「未来はすでに始まっている。」byロベルト・ユンク



C.C.へ



私は、まだそこにいるか?
(できればこれを読むのが、私以外であって欲しい。)






・・・・・・・・・・・・・・・・へ



前を見て進んでいるか。後悔は乗り越えたか。
手に入れた力に溺れたりしなかったか。無意味にふるったりはしなかったか。
理不尽な犠牲を強いて、最短の道を選んだりはしていないか。
最善を尽くして、最悪でも逃げたりしなかったか。
自分がした契約は、約束は、全て果たしたか。
本当の目的を見失ったりしなかったか。

そうやって、やるべきことをやり遂げたか?

俺はこれから心を殺すから、忘れないようにこれだけ書き留めておく。


俺はナナリーを愛している。俺のたった一人の妹で、一番大切な人だ。
俺はスザクを愛している。俺の初めての友達で、俺の心を開いてくれた人。


大切な人が幸せな未来がそこになかったら、俺はお前を許さないよ。






紅月花蓮へ



私は生きて自分がこの手紙を読んでいると信じてる。

何故ならやらなきゃいけないことがあるから。それをすると、自分で決めたから。
どんな困難な道があって辛いことがあっても挫けたりしない。
逃げるなんて以ての外。自分に嘘なんてついて、諦めたりしないで。
自分を支えて、守って、一緒に歩いてくれる大切な人がいる。
何よりも守りたい人も、貫きたいことも、私にはある。


日本という国がそこにあって、私はちゃんと日本語を喋って日本人として生きてる。
お母さんと一緒に暮らして、扇さんや大切な仲間もいて、みんなの笑顔が傍にある。


今は周りで毎日のように人が死んでいって、私も兵器に乗って人を殺してる。
大切な人はいつ死ぬか分からなくて、大切な人の傍にはいられない。
名前一つ、言葉さえ自由にはならずに自分を嘘で塗り固めて。

それでも夢と誇りを胸に、私は生きています。






枢木スザクへ



ねぇ、今何してる?

僕は今名誉ブリタニア人で、中からブリタニアを変えるために軍にいる。
だからいつ死ぬか分からなくて、これを自分で読めているのかも分からないな。
もし僕以外の人がこの手紙を読んでいて、その人が僕の知ってる人ならごめんね。

今は忙しい毎日を送っているけど、その代わりとても充実してる。
目の前にやることが山積みで、それに気を取られてるのが良いことなのかは分からないけど、 やることがあるとそれだけで幸せなんだ。
そしてそれを僕一人じゃなくて、たくさんの人が支えてくれてる。

大切な幼なじみ兄妹は相変わらず笑顔で僕を迎え入れてくれる。
軍にはいつも相談を受けてくれるセシルさん、それから変わってるロイドさん。
こんな自分を認めて、騎士にまでしてくれたユーフェミア様。
それから驚いたことに同年代の友達までできました。いつも楽しい生徒会のみんな。

彼らがいるから、僕は今とても幸せです。

最初の質問に戻るね?
十年はきっと遠いようで近いんだろうけどあまりにも毎日にたくさんの事がありすぎて、 今の僕には想像もつかない。でもいつも平和な世界を思い描いてるんだ。
その事を目標に、毎日やるべきことをしてる。

平和な世界、せめて大切な人を失わないですむ世界。

だからもし苦しい想いをしていてもこの時を、今が幸せなことを忘れないで。
そして悔いの残らないように前に進んで。

これが僕から未来の僕への、たったひとつの願いです。






ナナリー・ランペルージ様へ



こんにちは、元気にしていますか?この手紙を書いている私はとても元気です。
今はまだ目が見えませんけれど、この手紙を自分の目でちゃんと読めるように 文字で書きました。どうか、ちゃんと一人で読んでください。

お兄様は元気にしていますか?私はお兄様が世界で一番大切です。
そしてお兄様も私をとても大切にしてくださいます。
私はそれが嬉しくて、けれど時々苦しいのです。

お兄様は目が見えない、歩けない私をずっと一人で支えてくれました。
お母様が亡くなってから8年間。自分より私を、何よりも私を優先してくださいます。
私の狭い世界が優しいものであるように、努力して時には自分を犠牲にしてしまわれる。
それが私にはとても悲しいのです。私の幸せは、お兄様の幸せです。
だからお兄様が幸せでいてくだされば、それだけで私は幸せなのです。
きっとお兄様も同じ気持ちなのだと思います。でもお兄様は私とは違います。
例え御自身が傍にいらっしゃらなくても、幸せだけを残していこうとされる。

でも私はまだそれから目を背けてしまっている。

その一番の証拠が、この開かない目だと思いました。
この眼は見えます。いえ、必ず見えるようになります。
でも見えないのは、私が見る勇気をまだ持っていないからです。
私が自分で世界を見ようと、広げようとしないからです。

だから私はこの手紙を、私自身に読んで貰いたいと思いました。

私の頭の中のお兄様は、とても綺麗な人です。
黒い髪に、私よりずっと濃い宝石みたいな紫の瞳、白い肌に優しい笑顔。
お母様にそっくりだと、人から聞きました。私はお兄様を、ちゃんと見たい。

それに顔も知らない大切な人達。
昔の友達のスザクさん、色んな事を教えてくれるサヨコさん、いつも賑やかで格好いいミレイさん、 元気なシャーリーさん、お兄様の友達のリヴァルさん、ニーナさん、カレンさん。
みんなとてもいい人です。みんなの顔を、私は見たい。


これは私の決意です。だからどうか、この手紙はあなた一人で読んでください。





最初から手紙を開く気のないC.C.。
未来の自分への確認を書く、名前の分からなかったひとりの男。
今の自分の決意と、未来の自分への励ましを書くカレン。
自分に書いてるように見せかけて、人に読まれることを前提に書くスザク。
未来の自分への強いメッセージを書くナナリー。