「どんな僕でも愛してくれるっていったくせに、君は僕に銃を向けるんだね。」
「何言ってるんだ。俺は今でもお前を愛してるよ。だからこうやって銃を向けてる。」
「君は愛する人に銃を向けるのかい?」
「もちろんだとも。特にお前の為なら、辛くても厭ったりしない。」
「それはとても素敵なことだね。」
「お前がそういうならそうなんだろう。」
「でもあまりにも矛盾しているとは思わないかい?」
「そんなことはないさ。だって俺が銃を向けることによって。」

かちりと引き金にかけた指に力がこもる。
ルルーシュは輝くような微笑みを、弾の代わりにスザクに放った。


「お前は正当防衛というこの上なく素晴らしい理由を授かることができる。」


そして笑って引き金を引いたのはほぼ同時。



愛と言葉と武器の命中率
(いったい何なんですか!?水鉄砲バトルロワイヤルというのは!)
(水着で授業のオプション、プラスむさ苦しく暑っ苦しい夏の救済処置よ。)
(・・・・・・・・・・・・・・・・水浸しになった校舎の後始末とか考えてますか?)
(まぁっさか!)
(・・・会長のその答えだけで俺は充分涼しくなれましたよ。)







「僕は君の容姿が至上の美しさを誇ると思ってるしそんな所も愛してる。」
「それはありがとう。恋人としては謹んで誉め言葉を受け取っておこうか。」
「でも別に必ずしもそれが無いといけないわけじゃない。例え無くても、僕の愛は変わらない。」
「俺だってそうだよ。お前の容姿を愛してるけれど、その容姿がお前の全てというわけじゃない。」
「その黒檀の様な髪もアメジストの瞳も初雪のような肌も苺のような唇も君だし君だけの輝きだ。」
「大地のような暖かい髪も芽吹いた若葉の様な瞳も陽のような肌も全部お前のものだと思ってるよ。」
スザクが一拍おいたものだから、ルルーシュは微笑む隙を与えられた。
それに応えるようにスザクも笑ったものだから、二人の間に暖かな空気が流れた。


「でも僕だけのものでいて貰うにはそれが時々邪魔なんだ。」
「だからこそ、余計なものには全て目を瞑ろうと思うんだ。」


完璧に擦れ違った回答に、二人はけれど訂正などせず歩み寄った。



逆転した舞踏会
(スザク。今なら全て許してやる。右手に持っているその馬ヅラを捨てろ!)
(駄目だよ、ミニスカートにはこれがないと死者が出る。主に僕のせいで。)
(自覚があるなら結構なことだ。さっさと言うとおりにしないと今この場で死者が出る。)
(それが君のせいなら本望だよ。あとできれば踵落としが良い。)
(少しは下心を隠せ!!!)







「こんなもので二人の間を繋ぐことができるなんて、本当にお笑い種だね。」
「なるほど、お前は物で人を縛ることはできないと?」
「そもそも好き合っている同志なら、物で縛り合おうという発想はしないんじゃないかな?」
「だが目に見える形として何もないというのも不安だろう?本当に愛し合っているなら。」
「僕は何もなくても構わない。」
「それは違うな、スザク。人はそれほど綺麗な生き物ではないし、お前が思うほどに。」
「僕が思うほど?」
「醜い生き物でもない。」

人が物を欲しがるのは象徴を求めるからであって、物そのものに意味なんてない。
もしここにあるものが本当に無意味なら、お前は直ぐにでも捨てていってしまえるだろう?

諭す言葉にスザクは緑色の瞳を丸めて、そっとまとわりつく鎖に触れてみた。
冷たいけれど、しっかりとした手応えがある。


「つまりはこれが僕らの『愛』の『象徴』なんだね?」
「いいやスザク。残念ながら『お前の』だよ。」



鈍色リングロンド
(ありがとうルルーシュ。何だか全てを許されたような気分だ。)
(そうかそうか、俺は全く許した覚えはない。そして殴りたい。)
(両手を縛られた状態でどうやって?相変わらず無茶言うね、君は。)
(縛ったのはお前だろう!というか何処の世界に主人を鎖で縛り付ける犬がいる!)
(そうだね。でも残念ながらここにいるよ、ルルーシュ。)